CARL CRAIG


天才肌のクリエイタ−である。が、DJもまた独特の凄みがあることはあまり知られていない。はっきりいって"つなぐ"っていうDJの基本的なテクニックでさえ危なっかしいものがある。それは本人も認めているくらいだ。(笑) しかし、そんな技術的なアプロ−チの及びのつかないところに、「DJ CARL CREIG」の魅力があるように思うのだ。たとえば、他のDJは絶対にかけそうにもない、まるで聴いたこともない奇妙な曲が次から次へとカレイドスコープの如く展開されたりするわけである。おそらくそれは、彼のまだ世に出ていない未発表曲であったり、無名のアーチストのデモテープであったりするのだろう。かと思えばいきなり、エクスペリメンタルとしか呼びようがないDEEPHOUSEをかけてみたり、突如ドナ・サマ-やマ−ビン・ゲイ等の70年代ソウルオンパレードで攻めてみたりもする。まったく予測不可能で、とてつもなくスリリングなアプローチをするDJなのである。はじめて彼のパーティーに行ったとき、鳥肌が立った瞬間が何回かあった。クラブで緊張しながら踊るなんて体験はそうざらにあるものではない。
もともとこの人の活動はダンスミュ−ジックの範疇に収まるものではなかった。インナーゾーン・オーケストラ名義ではインプロヴィゼーション色の濃いフューチャー・ジャズを演ったり、最近ではヒップホップの要素を盛り込んだヴォ−カルユニットを結成してライブまで行ったりしている。あの流麗なメロディといい、意表をつくコ−ド進行といい、彼はテクノというより、むしろジャズの文脈で語ってもおかしくないア−チストのような気がする。もし仮に30年以上前にCARLが生まれていたとしたら、(そういった根拠のない妄想的推測は戒めるべきだとおもうけれども)エリック・ドルフィ−やチャ−リ−・パ−カ−と肩を並べるミュ−ジシャンとして世界的な名声を得ていたのかもしれない。

# 2001年の夏、7年振りにCREIG兄貴のパ−ティに行きました。さすがにタ−ンテ−ブルさばきは巧くなってましたが、ごく普通のテクノのセオリ−に添ったプレイをなさってました。(苦笑

http://www.mich.com/~planete/indexfl.html

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